ゴキブリに遭遇してしまったとき、退治するために、やみくもに追いかけたりむやみに殺虫剤をかけたりしていませんか?どんな害虫でも、害虫のことを詳しく知ることで効率的に駆除できるようになります。
ゴキブリも同じです。ゴキブリの生態を知っておけば、退治の方法を状況に応じて工夫できるようになるでしょう。つまり、ゴキブリの行動を先読みして対策することができるかもしれないのです。ゴキブリの生態を覚えて、賢く退治できるようになってみませんか?
日本でよく見るゴキブリの種類
ゴキブリは世界中で多く見られ、種類もさまざまです。ここでは、日本で最も多く見られる3種類のゴキブリについて解説します。
チャバネゴキブリ
大きさはおよそ11~15mmと、ゴキブリの中でも比較的小型なのが特徴です。また、民家よりも飲食店や食品販売店といった大型の暖房設備がある場所を好むのも特徴です。
寒さに比較的弱く、気温が-5度の環境では死んでしまうといわれています。しかし、冬場は人間が使う暖房などを利用し、暖を取って生き延びています。
クロゴキブリ
クロゴキブリはテカテカと黒光りする独特の色合いが特徴のゴキブリで、およそ30mmほどの大きさがあります。民家で最もよく見られるゴキブリですが、実は屋外にも多く生息しています。公園の茂みやマンホールの中、庭の植木の下などさまざまな場所で確認されるのです。建物の隙間や下水管を利用して屋外と建物の中を行き来することもできます。
雑食性で、人間の食べ物以外にも紙や革製品などなんでも食べますが、気温が35度を超える環境になると、腸の具合が悪くなり、食べ物を消化できず死んでしまうといわれています。
ヤマトゴキブリ
見た目はクロゴキブリによく似ています。クロゴキブリほど黒光りせず、少し小型なのでしっかり観察すれば見分けられるかもしれません。一方、メスはお尻が突き出しているのですぐにわかります。
多くのゴキブリが海外から人間の荷物に紛れ込んでやってきたといわれていますが、ヤマトゴキブリは「ヤマト」という名前の通り古くから日本で生息しているゴキブリです。
海外に起源があるといわれているクロゴキブリなどの数が増大するにあたって、ヤマトゴキブリの数が減少しているといわれています。
ゴキブリの生態
ゴキブリを見ると非常に強い不快感を抱く方はたくさんいるのではないでしょうか。できることならあまりゴキブリとは関わりたくないですよね。しかし、どんな害虫もやみくもに追い払っていては根本的な解決になりません。
ゴキブリの生態を理解することで、ゴキブリの弱点や退治する方法、ゴキブリを寄せ付けない方法が見えてきます。そこで、「ゴキブリの対策をする」ということふまえてゴキブリの生態を見てみましょう。
ゴキブリが食べるもの
「ゴキブリは雑食で何でも食べる」とよくいわれていますよね。しかし「何でも食べる」といわれても具体的にどんなものを食べるのかイメージできない方も多いのではないでしょうか?ときには「えっ!?こんなものまで食べるの!?」と驚かされます。具体的な一例を見てみましょう。
・野菜
ゴキブリはジャガイモやタマネギといった野菜によく引き付けられます。特にこの2種類の野菜は冷蔵庫に入れず常温保存されることが多いですよね。そのため、ゴキブリにとって狙いやすい格好のエサとなってしまう点にも注意しておきましょう。
・飲み残し、飲みこぼし
ジュースやお酒などの飲み残し、飲みこぼしにもゴキブリは寄ってきます。なぜなら水分補給が必要だからです。特にビールはゴキブリの大好物なので要注意です。
・油
油そのものだけでなく、食器についた油やキッチンまわりの油汚れをエサにします。特に配管やホースにこびりついた油汚れは人目につきにくいので、ゴキブリが集まりやすいです。
・ペットフード
ペットフードの食べ残しをそのままにしていませんか?ペットフードは臭いが強いので、ゴキブリを寄せ付けやすくなります。特にペレットのようなドライタイプのペットフードは放置しがちなので注意しましょう。
・髪の毛、フケ、排泄物
お風呂場や脱衣所はゴキブリが好む暗くジメジメした場所。そこに落ちている人間から出る髪の毛やフケはゴキブリのエサになります。また、掃除していないトイレにこびりついた排泄物や、使用済みのオムツにも寄ってきます。臭いを放っているのでゴキブリにとって発見しやすいのです。
ゴキブリは飛べるの?
結論からいうと、ゴキブリは飛ぶことができます。しかし、羽を持ったほかの虫のように、長距離を移動することはできません。また、ゴキブリは飛んで移動するよりも走って移動することがほとんどなので、部屋中を飛び回るということもあまりないでしょう。ちなみに、チャバネゴキブリは飛ぶことができません。
短距離しか飛べないとはいっても室内を飛んでしまわれては厄介なものですよね。ゴキブリを追い詰めたと思ったら飛んでほかの場所へ逃げられる、ということが起きることもあります。
ゴキブリの天敵
素早く動き回ったり、なんでも食べることができたりとゴキブリは無敵に見えます。ですがゴキブリの天敵となる生物もいるのをご存知でしょうか。代表的なゴキブリの天敵を見てみましょう。
・クモ
アシダカグモやジョロウグモ、ジグモといったクモはほかの虫をエサとする肉食の生物です。もちろんゴキブリも彼らのエサのひとつになります。特にアシダカグモを大型で、動きが俊敏です。そのため、素早く走り回るゴキブリの動きに追いついて捕まえることができます。
・ムカデ
クモと同様に、ムカデも肉食性の生き物でゴキブリを捕食します。ただしムカデはクモとは異なり、人間に影響のある毒を持っています。屋外で見かけた場合は神経質に気にする必要はないかもしれませんが、屋内で見かけた場合は外に逃がしてあげるか、駆除しておきましょう。
・猫
猫は元々狩りをしていた生き物です。本能として、ゴキブリのような動き回る生き物に反応し、捕まえたりおもちゃにしたりすることがあります。
猫の飼い主にとっては、ゴキブリを捕まえてくれると嬉しく思う方もいるでしょう。しかし、ゴキブリには殺虫剤がかかっているだけでなく、寄生虫や細菌を持っています。
万が一ゴキブリを食べてしまったら猫の身体に悪影響があるかもしれません。ですので、猫はゴキブリの天敵といえますが、ゴキブリの駆除のために大切な猫を利用することはやめましょう。
ゴキブリの卵を見つけたら要注意!
「ゴキブリを1匹見つけたら、その家には20匹のゴキブリがいる」という言葉を聞いたことはありませんか?これはゴキブリが一度に産卵する卵の数に関係していると考えられます。
ゴキブリは卵を産むとき、「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれる頑丈なカプセルに20個ほどの卵を入れてから産卵します。中の卵がかえると卵鞘のすじからゴキブリの幼虫が滝のようにはい出てきます。一度の産卵で20個以上の卵を産むので「ゴキブリを1匹見つけたら、その家には20匹のゴキブリがいる」といわれているのかもしれませんね。
卵鞘の大きさや色、固さは小豆の粒に似ていますが、財布のがま口のようなすじがついているのですぐに見分けることができます。ゴキブリが卵鞘を使って卵を産む理由は、卵の安全を守るためです。
卵鞘はあらゆる衝撃や汚れから卵を守る働きがあります。そのため、殺虫剤を噴射しただけでは中の卵は簡単に死にません。卵ごと退治するには、スリッパで叩き潰すなど人間の強い力を加えるのが確実です。
しかし、小豆くらいの大きさである小さな卵鞘を、駆除のためにひとつずつ探し出して叩き潰すというのは、あまり現実的ではありません。ゴキブリは普段人目のつかない場所や人間が入ることのできない場所に生息しており、そこで産卵するからです。
害虫ゴキブリによる被害
では、ゴキブリが出てくると具体的にどんな被害に遭うのか見てみましょう。
ゴキブリが持っている細菌によって不衛生になる
ゴキブリは平らな形をしているので、排水溝やゴミ箱などの人間が発見しにくく、不衛生な場所を通ることができます。そのため、ゴキブリの体は細菌やバクテリアだらけです。不衛生なゴキブリが食べ物や衣服に触れるのはなんとしても避けたいですよね。
健康が損なわれる
ゴキブリが持ち込んだ細菌やバクテリアが人間の体内に入ると、重大な病気や感染症を引き起こすおそれがあります。中にはサルモネラ菌や赤痢菌、チフス菌など重い食中毒にかかってしまう菌もあるのです。また、ゴキブリのフンや死骸が身体に取り込まれることでアレルギー反応を引き起こすこともあります。
ゴキブリの駆除方法
ゴキブリの駆除方法はたくさんあるので、どれが効果的なのか悩んでしまいますよね。実際に試しても目に見えるような効果がなく「本当に効いているの?」と思ってしまう場合もあるでしょう。そのような状況にならないよう、ここでは「罠」と「殺虫剤」という代表的な駆除方法の中でも、比較的手軽にできる紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
罠を仕掛ける
・粘着性のゴキブリシート
ゴキブリシートは、シートにかかったゴキブリを罠ごと処分するだけなので比較的衛生を保って駆除できる方法です。殺虫剤を使わないのは大きなメリットといえるでしょう。万が一ペットや小さなお子様がいたずらしても、粘着シートがベタつくだけで直接的な健康被害を心配する必要はありません。ただし、誘引剤を誤飲してしまわなよう注意してください。
粘着シートにかかったゴキブリは滅多なことでは逃げ出しません。もし心配なら罠ごと潰し殺すか、殺虫剤をかけておくとよいでしょう。
・毒の入った餌
毒餌のメリットは、設置場所の広さをあまり気にする必要がないことです。毒の成分によっては、毒餌を食べたゴキブリの糞や死骸をほかのゴキブリが食べることでさらに多くのゴキブリに殺虫成分を取り込ませることができます。
毒餌を食べたゴキブリは即死するというわけではなく、時間をかけてじわじわ死んでいきます。そのため、毒餌による効果がわかりづらく「もしかして効果がないのでは?」と誤解してしまう場合もあるでしょう。長期間様子を見て、「あれ?最近ゴキブリ見かけなくなったね」と感じるか確認することをおすすめします。
毒餌の成分は、もちろんゴキブリ以外の生物にとっても有害です。ペットや小さなお子様が誤飲しないよう注意してください。
・効果的な設置場所
ゴキブリシートの誘引剤や、市販の毒餌にはゴキブリを引き寄せる臭いがあるといわれています。しかし効果を発揮するのは半径2~3mの範囲だといわれているので過度な期待をしてはいけません。
どちらの罠もゴキブリがよく通る場所に設置することで効果を発揮します。ゴキブリが好む狭いすき間や湿気の多い場所、ゴキブリをよく見かける場所に設置してみましょう。
殺虫剤を使う
・殺虫スプレー
ゴキブリ用の殺虫剤というと殺虫スプレーを思い浮かべますよね。殺虫スプレーは速攻性があるので突然ゴキブリと遭遇してしまった場合に非常に効果的です。しかし、たいていのゴキブリは、殺虫スプレーを浴びただけでは死にません。逃げる力がなくなるほど動きが弱くすることはできます。ですので、弱ったゴキブリを叩き潰したり、踏み潰したりしてとどめを刺しておくのがおすすめです。
・くん煙タイプ
くん煙タイプの殺虫剤は、部屋中に殺虫成分を含んだ煙を充満させます。部屋のすみや家具のすき間など、手の届かない場所に隠れているゴキブリに効果的です。ただし、ゴキブリが全滅しても卵を産みつけられているとまたゴキブリは現れます。卵は卵鞘で守られていて煙が効かないからです。そのため、くん煙タイプの殺虫剤は定期的に使って生き残ったゴキブリにも煙を吸わせるとよいでしょう。
ゴキブリには洗剤が効く?
「ゴキブリは洗剤をかけると退治できる」という話があります。これは一体どういうことなのでしょうか?
ゴキブリは分泌物で体をコーティングすることで、有害なものが身体に付着しないよう身を守っています。そこでゴキブリに洗剤をかけると、洗剤が分泌物を分解しながらゴキブリの呼吸穴に入りこみ、窒息死するというのです。
洗剤をかけることでゴキブリを窒息させることは期待できるでしょう。しかし、この方法はあまり効果的ではありません。ゴキブリの呼吸穴は腹部、つまり地面側にあります。洗剤がかかったとしても羽で腹部をガードされてしまい、呼吸穴にうまく到達できない可能性が高いのです。そもそも洗剤は殺虫スプレーとは違い、液体なので素早く動きまわるゴキブリに洗剤をかけること自体が難しいでしょう。
また、この方法ではゴキブリは即死しません。もし呼吸穴までうまく洗剤が到達したとしてもゴキブリが走りまわることで洗剤を振り払われてしまう可能性があります。また、窒息死したとしても即死ではないので効果を感じにくい場合もあるでしょう。よって、「殺虫剤が切れたときのための応急処置」程度に考えておくのがよいかもしれません。
ゴキブリは大の苦手!そんなときはプロにおまかせあれ
「ゴキブリを見ること自体が怖い……」「ゴキブリは絶対に見たくない……」など、ゴキブリに対する生理的な嫌悪感はなかなか克服することができませんよね。そのような場合は、ゴキブリ駆除業者に依頼するという選択肢もあります。
無料相談が可能!無料現地調査も実施
「すぐに駆除してほしいわけではない」という方には、現地の様子を見て効果的な駆除方法や見積りを提示してもらってから、駆除してもらうという方法があります。
計画を立てて駆除することで業者とのトラブルを防ぐこともできます。業者に完全に任せるのではなく、お互いに話し合って認識を合わせておくのも大切です。
ペットのいるご家庭でも安心
ペットに対する影響が少ない薬剤を使ってくれる業者もあります。状況に合わせて薬剤や駆除方法を調整してもらえるのは、業者に依頼する大きなメリットといえるでしょう。
ゴキブリの予防方法
ゴキブリを駆除しなければならない状況になる前に、ゴキブリを寄せ付けないような環境を整えておくのも大切です。きれいな住まいでも、ゴキブリに卵を産みつけられてしまったら、ゴキブリはどんどん増えていくことになります。ゴキブリが苦手な方にとっては、想像するだけでも恐ろしいですよね。そうならないためには、具体的にどのような対策をおこなえばよいのでしょうか。
ゴキブリが住みつけないような部屋にする
ゴキブリはエサがあると、臭いを嗅ぎつけてすぐにやってきます。食べ残しや飲み残しはゴキブリにとって狙いやすいごちそう。出しっぱなしにせずこまめに片付けましょう。また、食べかすや飲み物のしずくもゴキブリに狙われます。こまめに掃除して清潔にしておきましょう。
ゴキブリが入り込めそうな隙間は塞ぐ
ゴキブリの侵入経路を遮断することで、物理的にゴキブリの侵入を防ぎます。具体的には、 「排水溝と下水をつなぐ配管が飛び出ている隙間の穴を、シールパテやクッションテープで塞ぐ」、「通風孔や換気扇にフィルターをかける」といった処理をおこなうことです。窓やドアもゴキブリの侵入経路となります。こまめに閉めておくことをこころがけましょう。
植木を室内に置かない
植木の底は狭くて暗い、じめじめした場所なのでゴキブリにとって快適な環境が整っています。鉢の下だけではなく、鉢の底と土の間にできた隙間に住みついていることもあるでしょう。植木はなるべく外に置き、鉢の周りに毒餌などの罠を置いて、ゴキブリが部屋に侵入する機会を減らしましょう。
まとめ
ゴキブリの対策方法はゴキブリの生態に基づいて考えられたものです。食べ物や温度など、ここで紹介したゴキブリの生態や駆除方法をもとに、お住まいの環境に合わせて対策方法を工夫してみてはいかがでしょうか。
しかしゴキブリに強い恐怖感や嫌悪感を抱き、「どうしても自力で駆除するのは嫌だ」という方もいらっしゃいます。そういう場合は、業者に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。状況に合わせた対策を考えてくれますよ。