台所やリビングに突然現れて人々の前を横切っていくゴキブリ。その見た目、動き、不潔さなどの不快感により誰もが嫌っている虫です。今回、駆除の方法を解説する「チャバネゴキブリ」は日本だとクロゴキブリに並びメジャーな種類であり、自宅や飲食店などで見かける種は大抵このチャバネゴキブリです。そして、不死身か?と思うほどのしぶとさと繁殖力を誇っています。
どうにかしてこのチャバネゴキブリの被害に打ち勝つことができないだろうか、そう思っている方も多いことでしょう。そこで今回は、チャバネゴキブリの手強すぎる生態について知り、しっかり効果を上げることのできる駆除の方法や、再襲来予防のためにしておきたいことを解説していきます。
チャバネゴキブリの手強さの秘密を理解しよう
まずはチャバネゴキブリがどういった生態で、なぜ手強いのか?何度退治してもしきれないその理由を分析していきます。駆除する相手を知ることによって、より効果的な対策を知ることができるでしょう。
「薬剤が効かない」と言われるワケは世代交代の速さにあり
殺虫剤を散布したり、毒えさを設置したりしてもあまり効果が得られないことがあります。それは「耐性ゴキブリ」という個体が生まれたことが原因です。そして、耐性ゴキブリが生まれた大きな要因してあげられるのは、半年ほどと短い寿命と非常に多い産卵の回数です。殺虫剤による駆除を生き残った個体から産まれたチャバネゴキブリは、少しずつその殺虫剤への耐性をつけていったのです。
暖かく暗い場所を好む「熱帯性の昆虫」
チャバネゴキブリは元々アフリカが原産と考えられています。そのため、寒さに弱く、野外で生活することはほとんどありません。温かい箇所に生息する習性があり、暖房設備のある施設や冷蔵庫などのモーター周辺に潜伏していることが多いです。そして、ある程度温かい場所なら年中産卵を行います。1度に40個~50個の卵を産み、約20日でふかします。
そこから成虫に成長するまでは60日~90日程度かかり、成虫になったチャバネゴキブリはそこからさらに150日ほど生き続けます。
ゴミを食べ、病原菌を持ち込む
チャバネゴキブリは雑食で、食品だけでなくゴミや汚物、さらにはハエなどの小さな昆虫や、環境によっては共食いをすることもあります。そのため、化器系の感染症を引き起こす病原細菌、急性灰白髄炎(ポリオ)ウィルス、サルモネラ菌などを持っていることもあります。そして、全身に雑菌をまとわらせているので、ゴキブリが触れた物から病原体が人へ感染する危険性も非常に高いです。
人にもちろん感染する可能性があるので、ゴキブリを素手などで触らないように注意が必要です。
チャバネゴキブリの駆除方法はこの3つ!
現代のチャバネゴキブリは一般的な殺虫剤への対抗力を備えており、あまり効果がありません。そこでここからはチャバネゴキブリの効果的な駆除方法を3つ紹介します。正しく使うことでより効果を発揮するのでしっかり覚えておきましょう。
駆除方法①:市販の毒エサを使う
殺虫成分を含んだエサを食べさせることによって駆除する方法で、チャバネゴキブリやチャバネゴキブリのフンを見かけた場所の近くに設置すると効果的でしょう。また、チャバネゴキブリが運んだ殺虫成分を他のチャバネゴキブリが食べるという連鎖的な殺虫効果も期待できます。ただし、幼い子供や老人・ペットがいる家では間違って食べてしまう可能性があるので、設置には十分注意しましょう。
駆除方法②:燻製剤で繁殖力をそぎ落とす
1度でチャバネゴキブリを全滅させることのできる駆除方法です。煙が広範囲に広がり、隠れたチャバネゴキブリにも効果的です。「煙タイプ」「水タイプ」「ノンスモークタイプ」と種類も大きく分けて3種類あるので、用途や住宅に応じて使い分けるとよいでしょう。ただし、卵には効果がないので、ふかしてから再度使用する必要があります。
また、ペットに悪影響を与えるので、外に連れ出しておく必要があり、食器や食品に成分が付着しないようにておくなどといった事前の準備が必要です。
駆除方法③:業者に依頼する
自分ではうまく駆除できない場合や、作業に不安な場合は業者に依頼することをおすすめします。自分で駆除や対策を行うより確実にチャバネゴキブリを駆除してくれるでしょう。業者を選ぶポイントとしては、複数社に見積り依頼することです。追加料金などが発生しないかなども確認しておくと安心です。
建物の造り別!効果的な対策方法
チャバネゴキブリへの対策は建物によって様々です。それぞれ効果的な対策方法をしっかりと理解し、適切な対策を行いましょう。
戸建て住宅での対策
戸建て住宅の場合、チャバネゴキブリは排水管の外側にある穴を伝って侵入してくることが多いです。
基本的にこの穴がある場所は以下です。
そのため、これらの穴はパテなどでしっかりと塞いでおくとよいでしょう。また、トイレや洗面所には換気のための小窓や換気扇があります。ここからもチャバネゴキブリが侵入してくる場合があるので、網戸やフィルターを張っておくと侵入を防ぐ効果があります。
マンションやアパートでの対策
マンションには共用部があり、ソコニアルボイラー、給排水設備、ガス配管設備などはチャバネゴキブリが好む「暖かく」「暗い」「水分補給が行える」箇所です。共用部の対策はどうしても手を抜いてしまいがちですが、普通の人には手が出しづらい場所なので、管理組合やプロに任せるのがよいでしょう。
自分でできる対策としては、廊下の水はけ管からチャバネゴキブリが侵入してくることがあるのでネットをかぶせておくと効果的です。そして、廊下から室内に侵入されないように、玄関付近にハーブや毒エサを設置しておくのも対策の1つです。侵入経路であるベランダにもハーブやアロマを設置するのも忘れないようにしましょう。
お店での対策
チャバネゴキブリはエサの匂いを嗅ぎつけて店内に侵入して、そのエサを食べて繁殖します。床に残った油や生ごみなど見えているものはしっかり掃除しましょう。お店の勝手口は隙間が大きいことがあります。パテなどで塞いだり、忌避剤を塗布したりして侵入を防ぐようにしましょう。換気扇はできるだけ回し続けるのが理想ですが、できない場合は網目のフィルターを着けましょう。床の排水溝も網目のカバーを付けておくとい効果的です。
そして、お店で1番多く侵入してくるのが排水管です。もし、排水管に返しが付いていないなら工事をして交換するとよいでしょう。チャバネゴキブリは暖かい隙間であればどこでも巣にしてしまいます。厨房でも冷蔵庫の裏側や排水溝の中、長期間放置されたダンボールなどが巣になってしまう可能性があります。気になった箇所は重点的に掃除しましょう。最後に、掃除した後に毒エサを設置しておくことも忘れないでください。
駆除のあとは予防も徹底的に!手軽にできる方法もあります
チャバネゴキブリへの対策は駆除だけでなく予防も同じぐらい大切です。せっかく家からチャバネゴキブリを殲滅したのにまた侵入を許してしまうと意味がありません。そこでここからは、チャバネゴキブリの侵入を予防する方法をシチュエーション別に解説していきます。
室内を掃除する
チャバネゴキブリへの予防は何より清潔に保つことです。チャバネゴキブリは人間の髪の毛やフケも食べてしまいます。しっかりと掃除を行うことによってエサを奪い、繁殖を防ぐことになります。キッチン周りは特に力を入れて掃除をしなくてはなりません。油汚れや生ごみはチャバネゴキブリの大好物です。また、洗った食器は水気をちゃんと拭き取るようにしましょう。
排水溝のぬめりは強烈なニオイがし、そのニオイにチャバネゴキブリが誘われて来てしまうので定期的な掃除が必要です。
外で薬剤散布をする
チャバネゴキブリはベランダや玄関、庭などから侵入してきます。そのため、室外用の毒エサを設置しておくと効果的です。また、チャバネゴキブリの通り道にあらかじめ塗布しておくタイプの駆除剤もオススメです。
巣作りを防止する
チャバネゴキブリの巣には形がありません。活動拠点となる場所が巣なのです。チャバネゴキブリは暗く暖かくて湿っている場所を好むので、心当たりのある場所は密封して侵入させないようにしましょう。重点的に対策しておく場所として、ゴミ箱、壁の穴、コンセント、ダンボール、本棚、植木、エアコンなどがあります。定期的にチェックしましょう。
侵入経路を塞ぐ
チャバネゴキブリを侵入させないためにはその経路を塞ぐ必要があります。先ほど紹介したように、通風口や換気扇には網目のフィルターを付けておきましょう。エアコンの排水ホースと室外機から侵入してくることもあります。排水ホースをストッキングで塞ぎ、室外機はゴミ袋で覆っておくと侵入対策になります。
キッチンの下も侵入経路になることがあります。チャバネゴキブリの侵入を防ぐ効果のあるハーブやアロマの忌避剤を用いて対策しましょう。
まとめ
チャバネゴキブリの被害がなくならないのは、駆除しきれていない間に繁殖してしまうことが原因です。自分の周りからチャバネゴキブリを1匹残らず消し去るためには適切な駆除方法と侵入させないための対策が何よりも大切なのです。しっかりとした掃除と適切な対策をしていれば、自然とチャバネゴキブリは家の中から減っていくでしょう。
しかし、どうしても自分で駆除することができない場合は業者に依頼してみましょう。しっかりと駆除してくれます。