「ゴキブリは人を噛(か)む」ということに驚いた方も多いのではないでしょうか。イギリス・ケンブリッジ大学の動物学チームが2015年におこなった調査では、ゴキブリは自分の体重の50倍もの力で噛むことができるということがわかりました。
春から秋にかけて増えるゴキブリ。あらゆるすき間から家に入り込んでくるあの悩みの種は、人に不快感を与えるばかりでなく、人を噛むこともあるのです。
それでは、ゴキブリはどのようなときに人を噛むのでしょうか。また、噛まれたときにはどのようなことが起こるのでしょうか。ゴキブリを寄せ付けない対策や、ゴキブリの撃退方法とあわせてご紹介します。
ゴキブリが人を噛むのはなぜ?
ゴキブリは雑食の昆虫です。そのため、植物を食べることもあれば、動物の肉などを食べることもあります。なんでも食べるとはいえ、なぜよりによって人を噛むことがあるのでしょうか。ゴキブリが噛む理由と、ゴキブリが活動する時間帯を知って、噛まれるのを予防しましょう。
エサを求めて噛む
ゴキブリが人を噛むのは、攻撃や自衛のためではありません。ゴキブリは栄養源を見つけたときに噛みつく習性があります。つまり、人に噛みつくときは、人の皮膚を栄養源や水分源だと認識したときということになります。
就寝中は注意が必要
ゴキブリは、動いているものからは逃げますが、動いていないものなら人でも近づいてくることがあります。そこで気をつけたいのが、就寝中の時間です。
人は寝ているあいだ、1時間のうちに2回程度の寝返りをうつといわれています。寝返りをしていないあいだは、人は呼吸以外にほとんど体を動かしません。夜間はゴキブリの活動時間と重なるため、噛まれないように注意する必要があります。
とはいえ、寝ながらゴキブリを警戒することはできませんよね。睡眠中の自分の身を守るためには、ゴキブリの侵入や繁殖を防ぐことが最良の策といえます。ゴキブリを生息させない環境づくりに関してものちほど解説するので、ぜひ実践してみてください。
ゴキブリに噛まれた後の症状は?
ゴキブリに噛まれたら、どのような症状が出るのでしょうか?ゴキブリにはさまざまな菌が付着しており、素手で触ってはいけないほど不衛生とされています。噛まれても大丈夫なのか、毒はあるのかどうかも気になるところです。もし噛まれたらどうしたらいいのかも含めて解説していきます。
毒はない
蛇などには、噛むときに毒を出す種類がいますが、ゴキブリに毒はありません。そのため、ゴキブリに噛まれたとしても、毒による被害を気にする必要はありません。しかし、ゴキブリが媒介している雑菌が傷口から侵入することで、症状が出ることがあります。
腫れることがある
ゴキブリに噛まれると、傷口が腫(は)れることがあります。これは侵入した菌による場合や、傷に対する体の自然な反応である場合がほとんどです。毒のないほかの虫に噛まれたり刺されたりしたときと同様で、しばらくするともとどおりに治ります。
アナフィラキシーショックの可能性がある
ゴキブリは、アレルギーの原因にもなることがわかっています。アレルゲンはゴキブリの体内とフンの両方に含まれており、ゴキブリに対してアレルギー体質をもっている人もいます。
口から体内にゴキブリの体液が入ったことで、過剰なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックが起こったという事例もあるのです。呼吸困難などの深刻な症状が出る可能性もあり、あなどれません。
ゴキブリを生息させない環境づくりをしよう
ゴキブリに関して、よくいわれるのが「1匹見つけたら100匹いる」ということです。本当に100匹いるかどうかは状況によりますが、事実としてゴキブリは群れで生活しています。見つけたゴキブリの種類によっては、家に群れがいることを考える必要があるのです。
丸々と大きくて黒いクロゴキブリは屋外に生息しているため、室内に現れるものは偶然侵入してきたものの場合が多いです。一方、小さくて茶色いチャバネゴキブリは室内に生息しています。チャバネゴキブリを見かけたときは家のなかでのゴキブリ対策を徹底しましょう。
ゴキブリを生息させない5つのポイント
ゴキブリ対策で重要になるのが、ゴキブリを生息させない環境づくりをすることです。たくさんいるゴキブリを相手に、1匹ずつ駆除していくよりも、環境を変えることのほうが長期的には効果があるといえます。それでは、ゴキブリを生息させない環境づくりのコツを見ていきましょう。
・普段目の届かないところを掃除する
ゴキブリは、人の目の届かないところに隠れて生息しています。光に敏感なゴキブリは、家具と壁のすき間などの暗い場所を通り道にしています。特にキッチンのまわりは、食べ物のくずがたまりやすく、湿気も多いためゴキブリの絶好の住みかです。ゴキブリが好む環境が出来あがらないように、普段目の届かないところもこまめに掃除しましょう。
・ゴミ箱にフタをする
ゴミをあさっていくゴキブリに対してできる簡単な対策が、ゴミ箱にフタをつけることです。生ごみ用のものを含め、しっかりとすき間なくフタができるものに交換しましょう。ゴキブリは、わずかなすき間でも体を薄くして入り込むことができるので、できるだけ気密性の高いものを選ぶことをおすすめします。
・シンクに水気を残さない
ゴキブリも、生きていくためには水分が必要です。水回りにゴキブリが出現しやすいのは、水を求めて寄ってきているからだと考えられます。「水はこまめに拭く」ということを意識すれば、ゴキブリにとって居心地のよくないキッチンを作ることができます。
・ダンボールや新聞紙はこまめに捨てる
ダンボールや新聞紙を積んだままにしておくと、そのすき間は温度や湿度が一定に保たれやすく、ゴキブリの巣になってしまいます。暗い場所にダンボールを放置しておくとゴキブリが拠点としてしまい、卵を産み付けられることもあるのです。ダンボールや新聞紙はこまめに捨てて整理しましょう。
・ディフューザーを使う
お部屋の香りづけに使われるディフューザーは、ゴキブリ対策にも効果があるとされています。アロマオイルに使われている精油(エッセンシャルオイル)は、ゴキブリが嫌いなにおいをもっているのです。
特に、レモン・ペパーミント・ユーカリ由来のにおいに効果があるとされています。ディフューザーでお部屋全体に香りを行き渡らせれば、ゴキブリが寄り付かない部屋を作ることができるでしょう。
必殺のゴキブリ撃退方法
ここからは、ゴキブリを退治する方法についてご紹介します。生息しづらい環境づくりとあわせて知っておくと便利な情報を集めました。ゴキブリを倒す秘策と、ゴキブリに遭遇してしまったときの対処方法を知っておきましょう。
・殺虫スプレー
害虫対策の定番といえば殺虫スプレーです。殺虫スプレーは、害虫にいつでも対抗できるように常備しておくといいでしょう。ただ、成分が気になるという方は、このほかに紹介する撃退方法を知っておくと便利です。
・熱湯をかける
ゴキブリには熱湯をかけることが効果的です。昆虫を含め、動物の体のタンパク質は60℃以上の熱にさらされると、固まってもとに戻らなくなります。この性質を利用し、ゴキブリに熱湯をかけることで、化学薬品を使わずに素早く退治することができるのです。
・ホウ酸団子
ホウ酸団子を置くことによって予防的な効果が期待できます。ホウ酸団子は、自然由来の成分だけを組みあわせて作られた殺虫剤で、市販のものだけでなく、材料を用意すれば家庭でも簡単に作ることができるものです。
化学薬品を使わないため、殺虫スプレーなどと比べて安心して使うことができます。ゴキブリが生息しにくい環境を作った上でホウ酸団子を設置すれば、ゴキブリ対策をさらに強化することができるでしょう。
ゴキブリを徹底駆除するならプロにお任せください
ゴキブリは人の健康にとって好ましくない生物です。人を噛むこともあり、アレルギーをおもちの方はショック症状が起こる可能性もあります。ゴキブリの脅威は、ただ気持ちが悪いというだけではないのです。
また、ゴキブリは繁殖能力が非常に強い生物です。市販の対策用品や住環境の整備で、ある程度まで数を減らすことはできても、すべてを撃退することは難しいでしょう。今回紹介した、ゴキブリの生息しにくい環境づくりや撃退方法も、すべてのゴキブリを確実に退治できる方法とはいいきれません。
徹底的な駆除をおこなうならば、ゴキブリ駆除の知識と経験の豊富な業者に任せたほうが、より確実で安全です。ゴキブリ駆除に関して困った際は、まずは駆除業者に相談してみてください。
まとめ
ゴキブリは、動かないものや栄養源とみなしたものに噛みつくことがあります。そのために人に噛みつくこともあり、噛まれると傷口が腫れるなどの症状が出ます。さらに体質によっては、深刻なアレルギー症状につながる場合もあるのです。
今回はゴキブリが噛む理由と、対策の方法をご紹介しました。基本的には「家を清潔に保つこと」が一番有効な対策であるといえます。しかし、ここで解説した方法は、あくまでご家庭で個人の方ができる範囲の対策となります。徹底的なゴキブリ駆除が必要な方は、駆除業者に相談してみましょう。